最近は日本でも電子決済が少しずつ進んでおり、PayPayや○○ペイなど選択肢も多く便利になってきました。
ただ、電子決済用口座に資金を入れておくのが面倒な方もおられるのではないでしょうか?
今回の法改正により、要件を満たせば会社の給与を直接電子決済用口座に振り込んでもらうことが可能になります。
以下、賃金のデジタル払いについてわかりやすく説明いたします。
キーワード・数字
・資金移動業者
・労働基準法施行規則の改正
・労使協定 + 本人の同意
・残高上限100万円
改正内容
施行日 : 2023年4月1日
参 考 : 厚労省 資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について
多くの方は指定口座への振り込みという形で賃金を受け取っているかと思いますが、
今後、各要件を満たせばキャッシュレス決済(○○ペイ等)用の口座への振り込みが可能になります。
賃金の支払い方法(そもそも)
銀行振り込みが一般的なためそれが当たり前のように感じますが、そもそも原則は
「通貨(現金)で」労働者に支払うこととなっています。(労基法第24条)
社労士資格の勉強をされている方にはお馴染みの「賃金支払いの五原則」の一つですね。
参 考 : 賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。(厚労省)
ただ、労働者の利便性も考慮し、労使協定の締結 + 労働者本人の同意がなされていれば
銀行振り込みOKとなっています。銀行振り込みはあくまで例外なんですね。
そのため、本件については労働基準法施行規則の改正となっています。
デジタル払い
キャッシュレス決済の使用には、銀行口座→○○ペイ等の口座へ資金を移す必要がありますが、
デジタル払いの場合は、企業から個人の○○ペイ等の口座へ直接賃金が支払われることになり、
銀行口座を介す必要がなくなります。
現 在 :会社→銀行口座(給与口座)→○○ペイ
デジタル払い:会社→○○ペイ
要件① 資金移動業者側の条件
資金移動業者(○○ペイ等)は厚生労働大臣へ指定申請をし、審査を通過しなければデジタル払いの
支払い先となることができません。審査通過には下記要件を満たす必要があります。
詳細 : https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001016402.pdf(厚労省)
1 破産等の場合に速やかに労働者へ保証できる
2 口座残高上限額を100万円以下に設定 or 100万円を超えた場合でも速やかに100万円以下にするための措置を講じている
3 不正アクセスなど労働者の責任でない損失が発生した場合に補償する仕組みがある
4 最終利用から10年以上口座残高が有効である
5 ATMから1円単位で出金可能で、最低1回/月は手数料無料である
6 賃金支払に関する業務の実施状況と財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制がある
7 賃金の支払に関する業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用がある
資金移動業者は銀行と比べて破産等のリスクは高いため、国が認めた業者でないと扱えないようになっているということですね。
要件② 会社側の条件
賃金のデジタル払いを開始するには会社側も必要な手続きがあります。
1 労使協定の締結
2 就業規則など規則類の改定
3 労働者の個別の同意をとる
ただし、デジタル払いを労働者から求められても応じる義務まではありません。
まとめ
簡単にまとめると以下のとおりです。
・賃金を○○ペイの口座へ直接振り込んでもらえる
・通貨払いの例外として労基法施行規則が改正された
・条件をクリアし認められた業者でないと対象とならない
・銀行振込支払いと同じで 労使協定+本人同意 が必要
日本のキャッシュレス決済比率(32%程度)は諸外国と比べてかなり遅れをとっているようで、国としてはさらなる普及を目指しているところです。
何事も導入時の対応は本当に大変ですが、選択肢が増え利便性が上がることは良いことですね。
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